FC2ブログ
2009/08/10

【本】 FKD

夏休みの読書感想。

フィリップ・K・ディック

ディックの初期(’60年頃)の短編集です。
今更ですけど、非常に面白いです。


論創社が出しているDark Fantasy Collectionから2冊、図書館で借りました。
ディックは長編はあるんですが、早川にも収録があったりなかったりで・・
初期の作品、読んでないものばかりで・・いや、今更ながらに短編面白い!
「人間狩り」「にせ者」(『クローン』というタイトルで映画化。ゲイリー・シニージさんがいい味です)、
例によってアンドロイドやロボットと人間の差とは?人間の存在って?という
問いかけに満ち満ちてる作品ばかりです。
特に、上記の2作を筆頭に、「ハンギング・ストレンジャー」や「ナニー」、
「ウォー・ヴェテラン」「トニーとかぶと虫」などなど、短いページなのに、
そのアイディアや削ぎ落とされた表現と簡潔で驚く展開にやられます。

ある日、地下室から作業を終えて出て来ると、
街角に黒い袋に入った死体が吊り下がっている。
それなのに、誰もそれを変だと思わないで行き来している・・・

こんな冒頭だけで、ぞくぞくして読みたくなります。

SFなので、宇宙人とか火星人とか異星生物とか出て来ますが、
問題は人間(地球人)の反応。
火星人をめった打ちにしたり差別したりする群集、仲良くならない地球人と異星人、
より高性能のロボットを売るために家庭用ロボットに他のロボットを攻撃し破壊させる
プログラムを組んでいる、戦争用につくったロボットが人類を真似て自己生産を始め、
やがて戦争をしている国を超えて人類を敵として戦争を始める・・などなど。

未だ絶対に解決しないだろう深遠の問題や鋭い社会問題の視点、
非常に含蓄のある哲学的要素がふんだんに入ってます。

映画『ブレードランナー』の公開と引き換えに亡くなってしまい、
死後に人気が上がった感じがある作家さんですが、ヒューゴー賞など
数々受賞されてるのですね。
この作家(これら短編)が初期ではまったく人気薄だったのが意外です。
(その後長編で売れることになるのですが)
スタニスワフ・レム(「ソラリスの陽のもとに」)が米人作家で唯一彼を評価されたそうですが、
私もやっぱりレムとディック派だなあ・・
ストルガツキーとか(『ストーカー』の原作)・・どっちもタルコフスキー監督の映画ですが。

クラーク(アーサー・C)も(「幼年期の終わり」など)凄いですが、
あそこまで小説にのめり込んで読めないのもあって(長いですし(笑))
つい、短い中で簡潔なテーマとアイディアを拾わせてもらおうとしてしまいます。
そんな中で、ディック。久々にいい刺激になりました。
読む方としては色んなファン、ヘビー読書数の方がいらっしゃるでしょうけど、
作品を書こうとする方からすると、着想ヒントの刺激になるのはありがたいです(笑)

しかし、原語が読みたくなるなぁ・・(訳が悪いっていうわけではありません)

出版一覧があったので載せておきます。
フィリップ・K・ディック作品一覧


一緒に写ってる洋書は007のペーパーバック(笑)
さすがに1週間程度じゃ両方は読みきれない。
洋書は買ってじっくり読もうと思います。
[Cinema/Book] -映画/本-